オーストラリア永住権のメリットとは?

移民大国で有名な国の一つ「オーストラリア」

日本と比べると比較的歴史は浅い国(1901年に立国)ですが、移住者は年々激増。
イギリス人の入植がきっかけでオーストラリアが生まれた、という歴史的な背景もあり、ヨーロッパからの移住者がほとんどでしたが、第2次世界大戦後に人口が減少したので白豪主義(白人主体で非白人を排除する政策)から脱却し、積極的に移民を受け入れる政策に転換しました。

移住者の国籍はさまざまで、特にシドニーやメルボルンなどの主要都市では英語以外の言語もよく耳にします。

ふじこ

多くの移民を抱えるオーストラリアだからこそ、外国人移住者を迎え入れるビザが充実しています。

新型コロナの影響で2年間国境を閉鎖しましたが、2022年2月に国境を再オープン。

ですが増え続ける移民に比較するよう犯罪率も増加、国籍取得目的だけの為の偽の婚姻もあり、オーストラリア政府は永住権取得の条件を年々厳しくしています。
これは移民を取り入れるどこの国でも同じで、「移民国家」のオーストラリアも例外ではありません。
私がオーストラリアに住んでいたひと昔前のような「技術も経験も英語力もない人でも永住権が取得できた時代」とは様変わりしています。

こちらの記事ではオーストラリアの永住権を取得する主要なメリット、デメリットについて分かりやすくお伝えしていきます。

目次

永住権のメリットって?

永住権の取得は厳しくなっているものの、やはりオーストラリア永住権には多くのメリットがあります。
永住権の最大のメリットは、日本のパスポートのままでオーストラリアに無期限で滞在できること!
他にも、永住権を取得すると以下のようなメリットがあります。

オーストラリア永住権をとるメリットについて

国民健康保険(Medicare)に加入できる
社会保障制度(Centrelink)に加入できるので、失業保険などの生活補助を受けられる
オージーと同じように働ける
家を購入する際の助成金として、初回は1万ドルの給付金が出る
住宅ローンを組む際に、Credit信用格付けがもらえる
10年以上オーストラリアに住んでいれば、老後の年金も受給される

ただし、永住権の申請料は4,115AUDですが、5年おきに460AUDを払ってリターンビザを更新する義務があります。
また、更新条件として、5年のうち2年以上はオーストラリアに居住する義務があります

ふじこ

↑このポイントで私は脱落しましたね…せっかく永住権取得しましたが、2人目妊娠、体調がすぐれず出産のため帰国しました。

永住権では公務員になれない、選挙権・参政権がないなどのデメリットはあるものの、永住権を取得することでビザによるストレスから解放されるメリットはかなり大きいですね!

❶国民健康保険(メディケア)への加入

永住権がある方はメディケアと呼ばれる公的医療保険に加入できるので、公立病院での治療が無料で受けられるようになります。

メディケアはオーストラリアの国民健康保険制度で、国民の税金から成り立っており、課税収入の1.5%がメディケアの財源となっています。

(メディケアの適用範囲)
一部のスペシャリスト(専門医)の診察料
公立病院での診察や治療が基本的に無料
検査費(血液検査、レントゲンなど)や入院費用

がカバーされます。

日本では3割負担が基本の公立病院も基本的には無料のシステムです。


ただ、日本のように誰でも気軽に大きな病院に行けるわけではなく、必ずGP(ジェネラルプラクティショナー)という総合診療医の診察が必要です。
詳細はコチラでお伝えしております→【豪州】医療制度の違い

オーストラリアのメディケア(国民健康保険)は、オーストラリア国籍保持者と永住権保持者が対象です。

ふじこ

日本の国民健康保険は、条件を満たせば外国人留学生も加入できますが、豪州では加入不可。この点が大きな違いです。

❷社会保障の充実

オーストラリアの社会保障制度は早くから整備されており、充実した内容を持つ特徴的なシステムとなっています。
永住権を取得すると、オーストラリアの国民年金を受け取る資格が得られます。

国民年金の受給資格【公的年金制度】

オーストラリアの公的年金制度は1908年に創設され、世界で最も早く導入された無拠出制の老齢年金制度の一つです。

旦那P

無拠出制年金【むきょしゅつせいねんきん】と言って年金額の支給に要する費用を、被保険者が負担せず全額国庫負担とする年金制度だよ。

この制度の主な特徴は:

  • 全額税財源で賄われ、保険料負担がない
  • 給付水準は単身で平均賃金の27.7%と、必要最低限に抑えられている
  • 所得や資産が一定額以上の場合、給付額が減額または支給停止される

私的年金制度【スーパーアニュエーション】

高齢者向けの所得保障として、無拠出の「老齢年金」制度が存在します。これにより、高齢者は追加の金銭的負担なく介護サービスを受けることができます。

政府は私的年金による老後所得保障政策を積極的に推進しており、1992年に導入されたスーパーアニュエーション制度がスタートしました。私の印象で全国民が加入で旦那のP君も日本に住みながらも加入しています。
その特徴は↓

  • 企業に対して従業員の賃金の9.5%(2025年までに12%に段階的引き上げ予定)を拠出することを義務付けている。
  • 18歳以上で月収450豪ドル以上の被用者を対象とし、パートタイム労働者や外国人労働者も含む。
  • 2023年9月末時点で資産残高が3.3兆豪ドルに達し、オーストラリア家計金融資産の約半分を占める


オーストラリアの社会保障制度は、公的年金と私的年金の「Twin Pillar政策」を基盤としており、医療・福祉サービスも含めた包括的なアプローチで国民の生活を支えています。

オーストラリアには日本のような介護保険制度がない為、代わりに介護サービスも一般税収から資金が供給されています。

社会福祉サービスの利用

永住権取得から2年経過後、失業保険や生活保護費、子育て支援金など様々な社会福祉サービスを受ける資格が得られます。

オーストラリアの社会保障制度は、主に以下の3つの柱から成り立っています

  1. 所得保障制度(年金、家族手当、生活保護等)
  2. 医療保障制度(メディケア)
  3. 社会福祉制度(高齢者ケア、障害者福祉、児童福祉等)

この制度の特徴としては

  • 原則として一般財源(税金)でまかなわれ、社会保険方式ではない
  • 年金給付は所得及び資産調査に基づいて行われる
  • 介護保険制度はなく、介護サービスの提供は主に税金から。

高齢者福祉サービス

オーストラリアでは、1985年の在宅介護コミュニティケア法の制定以降、在宅ケアを中心とした介護サービスへの転換が図られています。

この背景には、「慣れ親しんだ環境で出来る限り自立した生活を営むことが、本来の人間の尊厳にも合致する」という考え方が根底にあります。
高齢者向けのサービスには以下のようなものがあります。

在宅ケアパッケージ: 複数の介護プログラムを統合し、在宅ケアを軸としたサービスを提供します。

施設ケア: 重度の要介護者向けの高齢者福祉施設として「ホステル」や「ナーシングホーム」といった施設サービスも提供されています。

リタイヤメント・ヴィレッジ: 民間施設として、高級感のある老人ホームサービスも存在します。

在宅介護コミュニティケアプログラム(HACC):柔軟なサービス提供
ホームヘルプ、訪問介護、家屋の修理、給食サービス、輸送・移送サービス、介護家族向け支援サービス、草刈り、水撒き等、高齢者コミュニティケアプログラム

後期高齢者医療制度の被保険者に対して、1人に1枚交付されます。
75歳の誕生日を迎える方には、誕生日の前月に被保険者証が自動的に送付されます。
申請は不要で、対象者に自動的に郵送されます。

オーストラリアの社会福祉サービスは、連邦政府、州政府、地方自治体が役割を分担して提供しています

❸教育の権利

永住権保持者は、オーストラリア人と同様に低い学費で高等教育を受けることができます。

  • オーストラリア市民および永住権保持者の場合、公立高校は基本的に無料です。
  • ただし、教育にかかる費用は完全に無料ではなく、学校行事や教科書、制服などの費用は自己負担です。

オーストラリアの公立高校は市民と永住権保持者に対しては無料ですが、留学生は授業料が必要です。
さらに、学校関連の費用は自己負担となるため、実際には一定の経済的負担が伴います。

❹不動産購入の自由

永住権があれば、オーストラリア国内のどの物件でも購入することが可能になります。

ただずっと不動産バブルでなかなか手が出せる物件が多くないですが…。

銀行の住宅ローンの利子も昔に比べるとかなり低めで、2%まで低くなってるプランも有ります。

旦那P

僕が20年前に購入した時は10%だったからな~、もちろん後で借り換えたんだけど…。

私たちもQLDに投資用の1つ不動産を持っています。今は日本在住なので人にお任せして貸していますが、ローンの支払いはその家賃でなんとか賄っている状況。
古い家を購入して自分たちでリノベ―トして価値を上げて、高く売るというのが一般的です。

どのタイプのローンシステムか、いつ完済するかによっては利益が残らないことも勿論あります。

❺その他のメリット

私が結婚前に在住の時は諸事情でパートナービザの申請が出来ず、通常の観光ビザで住んでいたので、(詳細はこちら→観光ビザから滞在延長する方法【オーストラリア】)ビザが切れる前に国外へ一旦出るか、追加料金で6か月間のビザに切り替えるかの選択が必要でした。

ふじこ

これが面倒で日本に戻ってから永住権を申請しました。

永住権保持者は…

  • 5年ごとの更新で何度でも出入国が可能。
  • 永住権保持者の子供は自動的にオーストラリア国籍を取得。
  • 将来的にオーストラリア市民権を申請する資格が得られる。

これらのメリットにより、オーストラリアでより安定した生活基盤を築くことができるので、オーストラリア人とほぼ同等の権利と機会を入手できます。

ちなみに、よく聞かれる質問ですが永住権を取得しても国籍は日本のままです。選挙権は市民権を取得しないと権利がありません。

市民権を取得されるとオーストラリア人となります。
日本国籍とオーストラリア国籍を重複して保持できませんので、日本へ入国の際にはビザが必要になりますし、選挙権も消滅します。

永住権を取るデメリットとは?

オーストラリア永住権をとるデメリットについて

高額な費用
医療制度の違い
文化の違いによるストレス

高額な費用

永住権取得にかかる費用がかなり高額です。
2021年時点で、永住権の申請費用は4,115AUD(約37万円)に。

ふじこ

私は翻訳の箇所だけは政府に決められた資格のある会社を使い、それ以外は自分だ何とかやり切りました!

さらに、移民コンサルタントの代行手数料が50万円〜100万円程度かかることケースもあり、総額で100万円以上の費用がかかる可能性があります。

医療制度の違い

オーストラリアの医療制度は日本とは大きく異なりますので、その辺りがストレスになる方はよく調べてからが良いかと思います。実際私も二人目の妊娠の際に日本の医療が必要だと実感し、帰国しました。

  • すべての症状に対して、まず総合診療医(GP)の診察が必要です【豪州】医療制度の違い
  • 専門医の受診には紹介状が必要で、予約が数か月先になることもあります。
  • 歯科治療やプライベート病院での治療はメディケア(公的医療保険)の対象外で、全額自己負担となります
  • 救急車の利用も有料です救急車は無料じゃない!

文化の違いによるストレス

多文化国家のオーストラリアでは、様々な文化の違いが人によってはストレスの原因となることがあります。

  • 物価が高く外食は日本の3倍が普通。不動産も手が出せない値段に。
  • 時間や約束に対する感覚が日本とは異なり、イライラの原因になることがあります。
  • サービスの質が日本ほど高くないことが。(家電の修理、郵便物の置き配、アパートの清掃不足等)

私がパースやゴールドコーストに住んでいた時もやはり感じたこの文化の違いによるストレス。

日本人はどうしても自分たちのホスピタリティが高い分、同じレベルを他にも期待してしまうのですが、それではこの国ではやっていけない。思考の転換を早めにした方が疲れません。
お客様第一主義ではないのです。自分ファーストで動いています。

旦那P

それが幸福度にもつながっているんだけどね~

こあらん

みんな自己肯定感が高いし、お仕事第一ではないな~

例えば金曜日の16時に洗濯機の修理依頼の電話をしても、オージーにしたら17時で仕事が終わるし、週末だし、ほぼホリデーモード(実際のお話)
「また月曜日にかけ直してくれる?もうお仕事終わるから」
って言われちゃいました…
「え、受付すらしてくれないの?まだ16時なのに?」って思いますけど、これが普通です。

デパートも早めの17時に閉まります。お仕事帰りにはなかなか立ち寄れない…なので週に1度だけ夜20時まで営業してる曜日がありますが、日本ではやはり考えられませんよね。

バスも電車も時刻通りに来る方がすごい!来ない時は普通にある。だから時間には余裕を持っておかないといけません。
勿論悪い所ばかりではなく良い面も多々あります。
特にオーストラリアは親日でフレンドリーですので、すぐ仲良くなれる気質。
スーパーでレジに並んでいても、買い物時のお店の方とのやり取りすらもほほえましいシーンがよくあります。

ふじこ

え?友達なの?って思う声かけにビックリすることもしばしば

「週末何するの?」とか、「何買ってきたの~?」とか「楽しんでね~っ」て。
勿論子供にも動物にも優しいです。

高額なビザ申請費用

永住権取得にかかる費用が非常に高額です。

  • 永住権のビザ申請費は約37万円
  • 移民コンサルタントの代行手数料は50万円〜100万円

これらの高額な費用が、永住権取得の大きな壁になってきます。
私の場合は可能な限り自分で手配したので、コンサルタントには依頼せず40万程。
それでもオーストラリアに住むならやはり永住権はないと何かと不便でしたので、膨大な書類の提出と闘いました。

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その他のデメリット

  • 充分な英語力が無いと、就職や日常生活に支障をきたす可能性があります。
  • お買い物が不便(コンビニの品揃えが悪い、家電量販店の規模が小さい等)
  • オーストラリアに限らずですが、海外在住となると日本の家族や友人になかなか会えません。
  • 日本への往復も一人最低12万程は航空運賃がかかります。

これらのデメリットを十分に理解し、ご自身のライフスタイルや価値観と照らし合わせて、永住権取得を検討することが大切だと思います。

また、永住権取得後4年以上オーストラリアに住めば、市民権を申請する権利も得られます。
その詳細はまた別記事でご紹介したいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました~

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